加齢黄斑変性について

30年前と比べて最近増えたと思われる眼の病気に加齢黄斑変性があります。50歳代より始まり、ものが歪んで見えたり、中心が暗く見えたり、色の区別がつきにくい、視力低下などの症状で、ちょうど老眼の始まりのころと一致しているため発見が遅れることがあります。

加齢黄斑変性は多彩な眼底像をとる病気です。眼底は網膜、色素上皮、脈絡膜より構成され、ものを見る中心の部分の網膜を黄斑部と呼んでいます。色素上皮と脈絡膜との間にドルーゼンという黄白色の沈着物が出現することより始まる早期加齢黄斑変性と、進行した後期加齢黄斑変性に分けられます。後期はさらに萎縮型、浸出型に分けられています。ドルーゼンは数が増え、癒合して、悪化し進行して、萎縮型や、脈絡膜の異常血管が発生、出血して浸出型となり見えなくなります。

加齢黄斑変性はまず加齢、遺伝学的背景、全身的要因、さらに食生活、喫煙などの環境要因が複雑に絡み合いながら発症、進行すると考えられています。目の老化は18歳ころからすでに始まるとされ、有害なリポフスチンがたまりドルーゼンに変化するとされています。

それでは、加齢黄斑変性を発症させないためや悪化させないための日常生活の注意点は。まず禁煙は多くの研究報告から絶対に必要です。

短波長でエネルギーの高い青色光は加齢黄斑変性の原因の一つと考えられています。日光にも青色光は含まれ、日射しの強い屋外ではサングラス、帽子は必要です。LEDも青色を含むため、長時間のパソコンやテレビは控えるか、ブルーライトカットメガネの使用がよいでしょう。

緑黄色野菜より、カロテノイド、ルテインの摂取は黄斑部の黄色色素を増加させ、エネルギーの高い青色光の吸収を高め黄斑部の障害する危険度を低下させる効果があります。内科の薬の中にはカリウム摂取を抑えるため緑黄色野菜の摂取を控える場合もありますが、このような場合サプリ(栄養補助食品)は効果的のようです。そのほかビタミンA,C,E、亜鉛、ω3多価不飽和脂肪酸(DHA)などが含まれるバランスの良い食事が推奨されています。

すでに後期加齢黄斑変性の方は定期的な眼科受診と専門治療の継続が必要です。