コンタクトレンズ(CL)が原因と思われる眼障害は10人に1人は発生しています。10年以上の長期装用者では、角膜内皮細胞数の減少が問題となることがあります。減少が著しい場合、CLの素材を変更したり、装用の中止を余儀なくされる場合もあります。

CLの眼障害のおきる頻度は若い人に多いのですが、装用人口を考慮するとどの世代も同じと考えるほうがよいと思われます。

CLの眼障害を考えるときハードCL(HCL),ソフトCL(SCL)、と両方に共通におきるもので分けて考えたほうがよいでしょう。まずHCLによる眼障害では3時-9時方向の角膜の濁り、充血、血管新生が多く、原因は機械的刺激や局所的な角膜の乾燥が考えられます。さらに角膜とHCLとのフィッティングが悪くレンズが落下し角膜に傷がついたり、涙の交換が悪かったりします。もちろんHCL自体の傷、汚れ、変形などがあれば眼障害の原因となります。

一方SCLによる眼障害としては、SCLとの接触部におこる乳頭状結膜炎が多い、そのほか、乾燥が原因とされる角膜中央やや下方におきる点状表装角膜症、機械的刺激が原因とされる角膜上方に弓状におきる角膜上皮障害が主なものです。両者に共通なものとして、涙液分泌減少症に伴うドライアイなどの生体側に原因がある場合、ケアー用品の不具合や洗浄方法の不備による細菌・真菌・アカントアメーバなどの感染が原因となります。

また、ヘルペス角膜炎のようにCL眼障害とは無関係な場合も考えられます。